アダムス・ストークス症候群の障害年金請求

アダムス・ストークス症候群の障害は、多くが「第11節/心疾患による障害 」の中の「④ 難治性不整脈」によって判断されます。

 

④ 難治性不整脈

等級  障害の状態 
 1 級  病状(障害)が重篤で安静時においても、常時心不全の症状NYHA心機能分類クラスIV)を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの
 2 級  1 異常検査所見のEがあり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの
2 異常検査所見のA、B、C、D、F、Gのうち2つ以上の所見及び病状をあらわす臨床所見が5つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの
 3 級  1 ペースメーカー、ICDを装着したもの
 2 異常検査所見のA、B、C、D、F、Gのうち1つ以上の所見及び病状をあらわす臨床所見が1つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

(注1) 難治性不整脈とは、放置すると心不全や突然死を引き起こす危険性の高い不整脈で、適切な治療を受けているにも拘わらず、それが改善しないものを言う。 (注2) 心房細動は、一般に加齢とともに漸増する不整脈であり、それのみでは認定の対象とはならないが、心不全を合併したり、ペースメーカーの装着を要する場合には認定の対象となる。

 

NYHA心機能分類; 新機能を重症度を判定するための分類。
① Ⅰ度 ; 心疾患があるが、身体活動には制約がなく、日常労作で何ら愁訴を生じないもの。
② Ⅱ度 ; 身体活動が軽度に制約されるが、安静時または軽労作じには障害のないもの。
③ Ⅲ度 ; 身体活動が著しく制約され、安静時には愁訴がないが、比較的軽い日常労作で呼吸困難、狭心痛、疲労、動悸などの愁訴が出現するもの。
④ Ⅳ度 ; いかなる程度の身体労作においても愁訴が出現し、心不全症状、狭心症が安静においてもみられ、労作によりそれらが増強するもの。

 

区分  異常検査所見 
 A  安静時の心電図において、0.2mV以上のSTの低下もしくは0.5mV以上の深い陰性T波(a VR誘導を除く。)の所見のあるもの
 B  負荷心電図(6Mets未満相当)等で明らかな心筋虚血所見があるもの
 C  胸部X線上で心胸郭係数60%以上又は明らかな肺静脈性うっ血所見や間質性肺水腫のあるもの
 D  心エコー図で中等度以上の左室肥大と心拡大、弁膜症、収縮能の低下、拡張能の制限、先天性異常のあるもの
 E  心電図で、重症な頻脈性又は徐脈性不整脈所見のあるもの
 F  左室駆出率(EF)40%以下のもの
   BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)が200pg/ml相当を超えるもの
 H  重症冠動脈狭窄病変で左主幹部に50%以上の狭窄、あるいは、3本の主要冠動脈に75%以上の狭窄を認めるもの
 I  心電図で陳旧性心筋梗塞所見があり、かつ、今日まで狭心症状を有するもの

(注1) 原則として、異常検査所見があるもの全てについて、それに該当する心電図等を提出(添付)させること。

(注2) 「F」についての補足 心不全の原因には、収縮機能不全と拡張機能不全とがある。 近年、心不全症例の約40%はEF値が保持されており、このような例での心不全は左室拡張不全機能障害によるものとされている。しかしながら、現時点において拡張機能不全を簡便に判断する検査法は確立されていない。左室拡張末期圧基準値(5-12mmHg)をかなり超える場合、パルスドプラ法による左室流入血流速度波形を用いる方法が一般的である。この血流速度波形は急速流入期血流速度波形(E波)と心房収縮期血流速度波形(A波)からなり、E/A比が1.5以上の場合は、重度の拡張機能障害といえる。
(注3) 「G」についての補足   心不全の進行に伴い、神経体液性因子が血液中に増加することが確認され、心不全の程度を評価する上で有用であることが知られている。中でも、BNP値(心室で生合成され、心不全により分泌が亢進)は、心不全の重症度を評価する上でよく使用されるNYHA分類の重症度と良好な相関性を持つことが知られている。この値が常に100pg/ml 以上の場合は、NYHA心機能分類でⅡ度以上と考えられ、200pg/ml以上では心不全状態が進行していると判断される。

 

一般状態区分表

区 分 一     般    状     態 
 ア   無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
 イ   軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの  例えば、軽い家事、事務など
 ウ   歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
 工   身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぽ不可能となったもの
 オ   身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

 (10) 心臓ペースメーカー、又はICD(植込み型除細動器)、又は人工弁を装着した場合の障害の程度を認定すべき日は、それらを装着した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。


アダムス・ストークス症候群の障害認定は「循環器疾患用」の診断書を用います。